大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

トクシーマ・システィーナ

徳島県にきております。

 

徳島で現在立っているビルなどを再生物件としてふさわしいかどうか、建築家目線で見て欲しいと相談をうけています。

 

一緒に建物を巡るのは、以前徳島でお世話になった老人福祉施設の依頼主です。

毎年冬になると、徳島にお呼びいただいて、何軒か候補物件を見るのが

ここ3年ほどの恒例行事です。

 

 

建物を見終わった後、一緒にご飯を食べたりお茶をしながら

「あの建物、どう思う?いける?」「たっかいんっじょ~」などと

たのしい阿波弁を聞きながら見学したデータをその場で簡易にまとめ

分析・説明し今後の打合せや、日程を決めていきます。

 

 



徳島で検討中の物件はわりあい築年数が経った鉄筋コンクリート構造のものが多く

費用面や工事期間等がプロジェクトを進めるうえでかなり厄介です。

 

ですので、簡単にちゃちゃっと計画してデザインしてというわけにはいかないので

こうして長い年月をかけて、依頼主の要望や心の奥底に眠る夢、

長期的ビジョンなどをしっかり推し量ることのできる関係性が大切だなと

つくづく思います。

 

そのためにはやはり時間が必要で、

だけどその大変な時間を依頼主と設計者が乗り越えられるとき

素晴らしい結果が生まれるのではないかなと思います。

 

 

そんな、時間をこえた難工事のストーリーに励まされる

ミケランジェロの最高傑作システィーナ大聖堂を見に大塚美術館へ。

 

時や場所を超えて、

依頼主に出会えることはほんとに幸せだなと

日々実感しています。

 

 

ゆあさ

古民家再生の歴史: 35年前、岡山県で生まれた運動



35年前、岡山県で六人の建築家が「古民家再生工房」を結成しました。

 

古民家をモダンリビングに!をスローガンに

岡山県内のみならず、全国に活動の領域を広げてきました。

 

現在でこそSDGsなど持続可能的な価値観が広がりつつありますが

「古民家再生工房」結成当時は1988年とバブル景気の真っただ中。

世の中は「スクラップ&ビルド」の大号令で、

田舎に残されたポツンと佇む民家はひときわ貧しく、弱弱しく、

あんいに「壊してしまえ」と住まい手も、建築業者も考えるのが当たり前。

 

「リノベーション」や「リフォーム」などというコトバも知られていない時代。

 

 

「古民家再生」ということばは「岡山」から生まれた言葉です。

 

 

特別ではない風土の中で

名もなき人たちの生活を物言わず器として

名もなき職人の手によって創られた「民家」。

 

その民家を「保存」ではなく「再生」して

「現代・未来への生活の器」としてデザインすることを

「古民家再生工房」は35年もの間創造し続けています。

 

35周年以降のストーリーへ続く展覧会を今年の3月に岡山で開催します。

順次開催情報をアップしていきたいと思います。

 

お楽しみに。

 

 

 

大角雄三設計室

 

 

 

 

 

安堵&あんど

いやーあっという間に、今年も終わり。

心残りの仕事の山やまヤマで、どうしましょう。

 

 

そんなこんなな毎年同じような毎日ですが

最後に飛び込みで一件、契約が無事終了しました。

 

 

でも契約って一区切りではあるんですが、

工事は年明けから続くわけで、安堵と緊張がいっぺんに両肩にのしかかってます。

 

 

 

仕事の成功を祈念して、讃岐一宮へお参り。

 

ちょっと気が早い時期なので、ぜいたくな門前の風景を独り占めです。

 

その土地に昔から残された建物を見ると

その土地の特色が良くわかるので好きです。

この神社で言えば灯篭の石の種類や、瓦の勾配。植栽の刈込などなど

些細なことですが、それらが重層して、なんともいえない心地いい

ほっとする空間を創り上げています。

 

 

私達大角設計室がつくる建物も

そんな特別に奇をてらっていないンだけれど

特別なこだわりがたくさん集まった

居心地のいい家になればなと思います。

 

 

 

 

それはさながら、讃岐の地元民に愛される名店

「うどん田」のしっぽくうどん(小)のように。

 

かわいい、お母さんがあたためてくれるプリモチツルの麵に

ごんぶとの拍子切りされた大根・人参・厚揚げ・豆腐の味の染みた重層感。

 

 

がいに、んまくって

年越しうどんにオススメです。

 

 

 

 

ゆあさ

茅葺体験!

前回の続きです。

o-sumi.hatenablog.com

なんやかんやあって小学生がたくさんやってきました。

総勢なんと140人!

元気一杯が140人!

想像以上にハチャメチャでした

 

とはいえ、2回に分けて来てもらったので、1回70人。

ギリギリ何とかなりました。

 

 

そもそも今回工事にあたって、地域シンボル事業という名目で、補助を受けているのですが、

名前の通り、文化財をその地域のシンボルになるようにしようという内容です。

 

本来はシンボルになるのは完成後なのですが、

今回はせっかく茅葺を葺く貴重な機会なので、

子どもたちにもその文化や材料に触れてもらおうと

近所の小学校に声をかけたところ、

急な話にもかかわらず、たくさんやってきてくれました。

 

せっかくならもっといろいろできないかと思いめぐらし

古い物って面白いんだぞ」と思ってもらえるような

そんな企画にしようと思いました。

ちょびっと座学をしても反応が良い!

話す方もノリノリです。

 

座学の後は宝探しをしました。

会場の信岡家住宅は主屋や今回工事をした茶室だけでなく、「信岡フラットミュージアム」に再生した長屋門や蔵などたくさんの建物で構成されて広い敷地を有しています。

 

そんな信岡家には不思議なものがいっぱいあります。

例えば石垣にスライムや扇のマークが隠れています…!

こんな感じでいろいろ問題を作って探検しながらその答えを探していく。

そうして楽しみながら昔の人の工夫や遊び心が伝わればいいと思って

楽しさの中に学びを混ぜたような企画にしてみました。

やっぱり楽しくないと、心に残らないですもんね。

 

今回は信岡家にいつも関わってくれている方たちにもボランティアで参加してもらっていますが

実は大人の方が楽しんでいたのでは??

と思うくらいみんなワイワイ探検宝探しにいそしんでいました。

計画通り!

 

 

そしてそして、今回のメインの茅葺体験です。

 

茅は今回ススキを用いたのですが、

ススキって結構中が詰まっていて堅いんですよね。

 

それを束ねて切っていきます。

それを実際に体験。

ヨイショーッ!!

全力で切りますがなかなか切れてません。

 

「おりゃ~」

「かてぇ~」

 

みんな頑張りますが、結構コツが要るんですね

力だけでは体が浮くくらい全体重かけても切れません。

 

一束切るのに2、3人掛りでやっと切れる感じです。

三本の矢が有名ですが、

100本も200本も束ねれば、茅も結構ずっしりするし、堅いんですね。

大人でも結構大変です。

こんなことも体験して初めてわかる事です。

 

 

次は切った茅束を屋根まで運んで

実際にそれを縛っていきます。

わしゃわしゃして束の流れをそろえてきます。

そして縛ったら

軒をコンコン叩いて揃えていきます。

触って確認!

縛って叩いた茅はカチカチに固まっています。

みんな興味津々。

 

そんな様子がニュースでも流れました!

www3.nhk.or.jp

しっかり大角もインタビュー受けています。

大角の動画出演は貴重ですよ~笑

 

という感じでてんやわんや体験会が終了し

みんなもれなくニコニコで帰っていったのが嬉しかったですね。

 

まあ実際はいろいろ予定外のことが起きたりはしたのですが、

今回の隠れテーマである「古い物って面白いんだぞ」は

何とか伝えられたかなと思います。

 

 

さて、小学生良いな~と羨ましく思われたそこのあなた!

なんと来年1月20日全年齢向けで茅葺体験を行います!!

茅葺体験会予約フォーム

まだ空きがありますので、上記フォームよりお申込みいただけます。

会場は信岡フラットミュージアムです。

maps.app.goo.gl

駐車場もありますのでご興味ある方はぜひお申し込みください!

ただいま13時からの部が空きが多めでございます。

 

どうぞよろしくお願いします~

うえにし

わいわいがやがや

急にめっきりさむくなりました。

服をもこもこにして今日も現場に向かいます。

 

今回は「信岡フラットミュージアム」の別棟の再生工事の続報です。

前回のブログから結構時間が空いてしまいましたが

実は着々と工事は進んでいます!

前回はこちら↓↓

o-sumi.hatenablog.com

 

今回は茶室について書いていきます。

茶室の茅葺工事がいよいよ始まりました!

これは覆っていた銅板を外した様子です。

この崩れた屋根からもたくさんのことが分かります。

 

例えば、茅と一口に言っても葦、ススキ、藁、稲、いろんな植物の総称なので、

実際に何を使って葺いていたのか。

 

そして、棟の飾りも残っている材料から類推することもできます。

 

そして茅を一度すべて取って、整理整頓します。

使える茅、捨てる茅、新しくする茅

 

茅葺は実は痛むのは表面だけで中の方は結構使えたりするんです。

この建物も銅板に覆われていたとはいえ(おそらく)100年ほど前の茅ですが

まだ多少は結びなおして使うことができました。

 

そして新しく入れる茅は阿蘇の方から持ってきたススキを使いました。

いや~結構な量です。

床面積としては15㎡程度なんですけど、茅はやっぱりボリュームがありますね。

 

余談ですが、茅葺は日本全国どころか、世界各地にあります。

アジアに多い形式ですが、ヨーロッパとかにもあるんです。

 

そんな中でも日本の茅葺はちょっと特殊。

 

”真葺き”といって、茅の根元を下に向けて葺いていきます。

他のアジア諸国では”逆葺き”といって茅の穂の方を下に向けるんです。

 

それでどんな違いがあるかというと、

真葺きは、雨仕舞が悪いけど長持ちする、

逆葺は、雨仕舞が良いけどすぐ痛む、

んです。

 

頑張って説明しますと

茅は極端に言うと円錐状になっています。(穂の方が細くて根元の方が太い)

またまた~と思われるかもしれませんが束ねると結構顕著に表れます。

そんな束を穂を下に、根元を上に積んでいくとどうなるか想像してみてください。

どんどん屋根勾配が急になっていきます。

これは雨仕舞的にはとても合理的です。

でも問題としては穂の方があまざらしになるので、すぐダメになります。(穂の方が腐りやすい)

これが逆葺きです。

では逆に穂を上に、根元を下にするとどうでしょう。

どんどん屋根勾配が緩やかになってとっても非合理です。

でも雨が掛る根元は丈夫なので葺き替えサイクルが長くなります。

これが真葺きです。

 

日本の茅葺屋根はほとんど全域で真葺きを採用し、雨仕舞の悪さをカバーするために

勾配を急に、分厚く、進化しています。

 

そして皆さんが良く思い浮かべる”うずたかい”茅葺のかたちになりました。

短期的には非合理、長期的にいは合理的。

そんな選択。わかっていてもなかなかできないですよね。

 

そんな日本の伝統文化に触れてもらおうと

近所の小学生たちを呼んで、茅葺体験をしてもらいました!

わいわいがやがや

テレビカメラも来ちゃったりして

小学生たち寒さに負けずに元気いっぱいです。

半ズボンなんかもいて、シンジランナイッ

 

内容についてはまた次回お伝えします!

 

うえにし

大角設計室の家で暮らす日々

 

先日、Webメディアの編集者からお声がけいただき

取材の現場に立ち会ってきました。

 

今回の取材はいつもとは少し様子が異なっており

「写真」ではなく「動画」での取材となっています。

 

巷では「ルームツアー」なるYou Tube動画がはやっていて

いろいろなプロアマ含め建物内部の様子を気楽に楽しめるメディアです。

私達にお声がけいただいたのは、

以前お世話になった東京の建築雑誌出版社出身の編集者の方です。

私達の住宅も、出版社在籍時代にお世話になりました。

 

そんなご縁があって、今回の取材とあいなりました。

 

 

完成は年が明けてからですが、とても楽しみです。

 

また完成したらお知らせいたします。

 

 

 

ゆあさ