保育園の計画を行っています。
丁度一年前くらいに計画をしていたのですが、
今回は事情が変わって、計画敷地が変更になり、改めましての
仕切り直しファーストプレゼンです。
いつも打ち合わせの時に思うのですが、
建築というのは、まことに「伝えるのがむつかしい」ジャンルの仕事です。
打合せに模型や図面を持ち込むのですが、
図面のサイズで言えば実物の1/100か1/200になり、
広さ・高さ・明るさ・質感等
設計者の考えていることが図面や模型には表現されているのですが
それを理解しようと、依頼者ががんばっていただいたとしても
お伝えできるのは私の肌感でいえば、やはり1/100くらいだと思います。
どうしても、打合せ時にお渡しするものと実物にはギャップが出来ます。
それは建築をつくるプロセスとして、システムとして、どうしようもないんですね。
実物とおなじ大きさの物をつくるわけには行きませんし、
精巧なCGをつくってもやはり二次元と三次元空間は別物です。
だからこそ「何を伝えるか」ということがとても大切です。
プレゼンをする側の私達は伝えたい事や今まで考えたことなどは
誇張なしで何百時間分とありますが、
3~5分位に凝縮した「たった一つのこと」を伝えるために
しゃべる内容や、模型の表現、プレゼンスケッチの見せ方などを
検討を重ねています。
「わかりやすければ、いいだけじゃん」と思うかもしれませんが、
なかなか、そうは問屋が卸しません。
設計事務所にご依頼いただく方は、だいたい建物に熱心な方が多いですから
「こんな家を建てて欲しい」という、ぼんや~りとしたイメージがあるものです。
さきほど「わかりやすい」プレゼンをすればいいと言っていましたが、
わかりやすいプレゼンの正体とは、
まさに依頼者の「想定の範囲内」での内容のものを提示した時に
「そうそう、コレコレ」とすんなり伝わります。
ですが、大角設計室が目指すのは、いつだって
「依頼主の希望&【プラスアルファ】」の提案です。
黙って、依頼主の意見だけを表現することも大切ですが、
やはり【設計のプロの視点】から、
依頼主の要望がより魅力的になる【プラスアルファ】を見つけることが
一番大事ではないかと思います。
私達のプレゼンを受けた依頼主はきまって
「嬉しいような、ちょっと戸惑ったような」表情をみせます。
なぜなら、「自分たちの想像を超えた案」が提示されたからです。
「ワクワクはするけど、ちょっとイメージがまだわかないな」そんな感じです。
そうなってしまうことは百も承知で、毎回デザインをしています。
でも、それこそが、工務店やハウスメーカーなどと作るのではなく
「設計事務所と一緒に建物を創る」楽しさや意義だと思います。
今回の保育園も御多分にもれず、一つの提案をしました。
「私達が今回提案するのは【建物そのもの】ではなくて
【こどもが主役の風景となるデザイン】です。」
依頼主は「建物(保育園)」のデザインを大角設計に依頼しているのに
私達は、「建物ではなく、こどもが主役の風景」を創りたいと提案する。
ね?プレゼンって難しくて、楽しいでしょ。
設計事務所と楽しく家や施設をデザインしてみませんか。
生みの苦しみはありますが、生みの楽しさも発見するでしょう。
出来た時の感動はひとしおですよ。
ゆあさ